東北区水産研究所宮古庁舎が竣工
東日本大震災からの沿岸漁業復興のための研究開発拠点として
先の東日本大震災では、各地の漁村が大きな被害を受け、特に東北地方太平洋側では、津波によって生活の場が失われるとともに沿岸漁場の生態系が大きく変化する等、その影響は想像を絶するものでした。独立行政法人水産総合研究センターでは、震災直後から生態系の回復過程を科学的に追跡するとともに、沿岸漁業の復興に求められる資源管理と漁場利用に関する研究に取り組んできました。その一方で農林水産省等のご支援を得ながら被災した庁舎の再建等を進め、このたび、東日本大震災で全壊した東北区水産研究所宮古庁舎が沿岸資源研究の拠点となる施設として、装いを新たに竣工する運びとなりました。水産科学は日本近海の水産資源を持続的に利用するための技術開発の要であり、長期的展望にたった沿岸研究の拠点の形成が長く求められてきました。最新鋭の実験・飼育施設を持つ庁舎が完成すれば、わが国の水産科学をさらに推進していくための大きな弾みが期待されます。
特に、東北地方では、サケの回帰率の低下や、震災の影響を受けたアワビ漁場の回復がきわめて重要な研究課題になっています。水産総合研究センターでは、今回の庁舎の完成を機に、水質や餌料が養殖魚介類に与える影響についての研究など、被災前から取り組んできた研究の豊富な成果を足がかりとして、東日本大震災で被災した沿岸漁業の復興に資する研究開発をさらに推進していく所存です。
別紙参考資料
なお、この施設の再建にあたっては、農林水産省や地元の関係者の皆様をはじめ、多くの皆様から御協力を賜りました。11 月7 日には、関係者による竣工記念式典の開催を予定していますので併せてお知らせいたします。
