MER
Marine Ecosystem Study for Sustainable Utilization of Biological Resources
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カイヨウセイタイケイケンキュウノハイケイ
Project(Outline/DEEP/FRECS2/Monitor) 21世紀初頭における日本の海洋政策における最重要課題は「持続可能な海洋利用」であり、その実現のためには「海洋を知る」「海洋を守る」「海洋を利用する」のバランスのとれた政策への転換が重要であると、科学技術・学術審議会から答申されています。
持続的利用が可能な資源の1つとして海洋生物が挙げられます。海洋生物資源は、利用しすぎれば乱獲に陥りますが、適切な管理を行うことにより持続的な有効利用が可能です。日本の水産施策の中核的な指針を定めた水産基本計画においても、水産物の安定供給に関する施策として、水産資源の動向の的確な把握、適切な保存・管理、変動予測技術の開発およびそれらを実行するための調査研究の推進が求められています。 海洋生物資源は、生物を取りまく物理環境と生物環境が複雑に絡まって変動しています。また、海洋生物は水平・鉛直的に大きく移動するため、漁業活動や通常の観測・調査では捉えにくい未利用生物の活動が、有用生物の資源変動に寄与していることも予想されます。海洋生物資源の変動を明らかにするためには、「表層から中・深層に至る海洋生態系の構造と機能およびその動態の解明」の視点が不可欠です。大気・海洋変動に伴って変化する海洋生態系の応答の仕組みを明らかにした上で、海洋生物資源の変動要因の解明と予測技術の開発および持続的利用方策の検討が必要です。
他方、海洋生態系の仕組みを明らかにすることは、物質の流れを定量化することにも繋がります。海洋は、大気中に放出される人為起源二酸化炭素の約1/3を吸収しています。この二酸化炭素は植物プランクトンに取り込まれた後、魚類等食物連鎖の高次生物に転送されていますが、喰う喰われるの関係には不明な点が多く、吸収された二酸化炭素の行方は未だ十分に解明されていません。海洋にインプットされた炭素の流れを明らかにし、二酸化炭素の吸収域としての海洋の役割を再評価することが、海洋生態系研究のもう1つの役割です。
このように、海洋生態系研究の推進は、まさに「海洋を知る」「海洋を守る」「海洋を利用する」ためのフロンティア研究といえます。
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