ミズクラゲってどんな生き物?
 ミズクラゲは日本の周辺でもっとも普通に見られるクラゲの一種で、直径が30cmほどにまで大きくなります。
 海水浴に行くと、クラゲに刺されることがあります。これは多くのクラゲが腕(触手といいます)に毒のある刺胞をもっているためです。ミズクラゲにも刺胞がありますが、毒はごく弱いため、人間が触っても痛みを感じることは稀ですが、敏感な人は触れた部分が腫れることがあります。
 しかし、時に大発生して、魚が獲れなくなったり、発電所の冷却水の取水口が詰まったりと、私たちの生活に困ったことを引き起こすことがあります。
 昔はこんなに多くなることはなかったということをよく聞きます。なぜミズクラゲが増えているのかを明らかにすることは、生物大発生プロジェクトの目的の一つです。
 ミズクラゲは、とても複雑な成長様式をもっています。
 卵から孵化すると、0.2mmほどのプラヌラ幼生となって数日間水中を漂います。
 その後、海底の石や防波堤といった基盤に付着して、イソギンチャクのような触手を持つポリプ幼生に変態します。ポリプは幅広い水温で生育可能で、普通の生物では死んでしまうような酸素濃度の低い環境でも、生き残ることができます。しかも無性生殖によって増えることができます。
 ポリプ幼生は成長するにつれ、たくさんのくびれを持つストロビラ幼生になります。
 このくびれ毎に花びらのような形をしたエフィラ幼生が分かれ出て、再び水中に浮遊します。
 エフィラが成長すると、メドューサという、私たちが目にする親クラゲになります。
 ミズクラゲの大発生には、悪い環境でも成長でき、無性生殖で増殖するポリプからストロビラの期間の生き残りが重要であると考えられています。
ミズクラゲの大発生

 
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上の2枚の写真は、瀬戸内海で沿岸でミズクラゲが大発生している様子を上空から撮影したものです。海の中に白く漂うミルクにように見えるのが、何万匹というクラゲの群れです。近くで見ると、下の写真のように、数多くのミズクラゲが発生していることがよくわかります(撮影: 愛媛大学 武岡英隆)。