宮古市立赤前小学校での出前講義『赤前の海』

 東北区水産研究所宮古庁舎では、地元小学校の総合的学習への協力として出前講義を行っています。特に宮古市立赤前小学校では、「赤前の海」という名を冠した体験学習を毎年続けてきました。昨年まではヒラメの放流体験や施設見学も行っていましたが、今年は津波の影響で例年どおりの活動ができませんでした。
 しかし、赤前小学校の校長先生の「いつまでも海に背を向けているわけにはいかない。」という思いを受け、11月15日に小学校4年生を対象として宮古湾に関する出前講義「赤前の海」を行いました。
 先ずは、近くの漁港で海の生物生産を支えている小さな生き物「プランクトン」の採集を行いました。

プランクトンネットに興味津々

目を凝らせば何かが見える?

「プランクトンがいっぱいいます」の話

カキ養殖漁業者の山根さんと今年生まれたカキの話
 プランクトンを採集して学校に戻った後、採集したプランクトンを顕微鏡で実際に見て絵に描いてもらったところ、生徒の皆さんが一生懸命観察して絵を描いてくれました。

顕微鏡で観察中

黒板に観たものを描いてもらいました

生徒の力作。一番右のエビの幼生には優秀賞!

震災後の宮古湾で撮影した写真を紹介

まとめの講義!
 
 今回確認できたのはカイアシ類のほかエビの幼生やワレカラなどで、生徒の皆さんは見たままのプランクトンの姿を描いてくれました。
 特に、エビの幼生に関しては、背側と腹側や頭と尻尾の分かっている私達と違い、ありのまま、見たままの姿を描いた絵に衝撃を受けました。
 また、ムラサキイガイと珪藻を使って、貝が珪藻を食べることで水が透明になるという実験も行い、生徒の皆さんが興味深そうにその様子を見ていました。

 そして質問コーナーでは、いつものことながら、「プランクトンは何種類いますか?」など子供らしい素朴で難しい質問にたじたじとしながら、「こんなに厚い図鑑が1冊できるくらい!」などと受け答えし、震災後の宮古湾にも多くのプランクトンがいて、これらの生物が小さい魚やカキなどの餌となっていることや宮古湾は震災前と変わらず豊かな海であることなどを話して講義を終えました。皆さん、津波の恐ろしさを自分の目で見て知っていますが元気いっぱいでした。
 短い時間でしたが、津波が襲った宮古湾は今も多くの生物が生息している「生きている海」であることが講義を通して少しでも伝われば良いと願っています。

水研センターでは、成果の普及と国民との双方向コミュニーケーションを図っており、今後も研修や講演等を通して、漁業者や関係機関の方々と連携を図ってまいります。