1997年度VENFISH成果:2103
課題番号:2103
大課題名:多獲性魚類の資源動態予測技術の開発
中課題名:多獲性魚類の環境応答特性の解明
小課題名:サンマの初期生活史における環境応答特性の解明
Larval parameters determining preschooling juvenile production of Pacific saury (Cololabis saira)
担当研究室名:中央水産研究所 初期生態研究室
担当研究者名:大関芳沖・久保田洋・木村量
協力分担研究室名:東北区水産研究所 浮魚資源第1研究室

 サンマの資源変動予測技術の開発のためには、生活史全体の個体群動態を記述し、 外部環境との関連から資源の変動を説明することが求められる。しかしながら、サンマの 成長・生残過程については不明な点が多く、仔稚魚期における成長・生残の季節間・海域間 での差違についても充分には解明されていない。本年度は耳石の計測結果をもとにサンマ 仔稚魚の成長・生残を解析し、季節別・海域別の差違ならびに年変動の実態を明らかにす る。

 孵化仔魚の生産尾数は秋季に最も多く、このことは90年代に入り肉体長29cm以上の大 型・特大魚の漁獲割合が高くなったことと関連していると考えられた(図1)。季節間の比 較では冬季の成長速度が最も速く、春季・秋季の順で遅くなっていた(図2)。このことは 冬季の産卵域が黒潮域であり水温が高いこと、春季の餌料プランクトン密度は3季節で最 も高いが、水温は冬季に比べて低いこと、秋季は餌料プランクトン密度が春季よりも低く かつ水温も冬季に比べて低いこと、等の理由によるものと推察された。秋季の死亡率が高 い点についても、同じ理由によると考えられる(図3)。春季と秋季で成長と死亡率の変動 係数が大きいことにより、稚魚生産尾数の変動係数が大きくなっていると考えられるが、 この理由としては混合域の海洋環境の年変動が大きいことが関係していると考えられる (図4)。
 総合的に見ると、冬季の稚魚生産尾数は仔魚生産尾数によって規定されていることに対 し、春季と秋季の稚魚生産尾数は、仔稚魚期全体の生残率の変化によって規定されている と考えられる。


図1孵化仔魚の生産尾数
Production (i nds/km2/day) of hatches (Spring:blue; Winter:green; Fall:red)
図2仔稚魚の成長速度
Growth rate of larval and jevenile saury
図3仔稚魚の死亡率
Mortality of larval and juvenile saury
図440mm稚魚の生産尾数
Production (i nds/km2/day) of 40mm juveniles
発表文献
Watanabe, Y., Y. Oozeki, and D. Kitagawa 1997. Larval parameters determining preschooling juvenile production of Pacific saury (Cololabis saira) in the north-western Pacific. Can. J. Fish. Aquat. Sci., 54: 1067-1076.

Yoshioki Oozeki