北太平洋中層水

 北太平洋中層水は、北太平洋中緯度域に広域に広がる低塩分で特徴づけられる水で、中層約400〜800m深に分布し、その上層や下層よりも塩分が低く、塩分極小を形成します。この低塩な北太平洋中層水の起源は、北太平洋亜寒帯循環やオホーツク海などの亜寒帯海域であり、二酸化炭素の輸送や気候変動に重要な役割を果たすと考えられています。本州東方の混合域(親潮と黒潮に挟まれた領域)や黒潮続流域(黒潮が房総半島から離岸し東に流れる領域)では、亜寒帯起源の低温・低塩な水が、亜熱帯起源(黒潮)の高温・高塩な水に混入し、北太平洋中層水を形成すると考えられています。北太平洋中層水の形成量は二酸化炭素の中層への輸送量にも密接に係わっており、世界的に注目されています。
Shin-ichi Ito