表紙写真の説明(上)

 パネルAとBは,米国Webb社製のAPEXと呼ばれるフロートを海中に投入する時の写真である(写真提供 気象庁)。APEXは全長がおよそ1.6mで,内部にはブラダーと呼ばれる収縮浮き袋と水温・塩分・圧力センサーを内蔵している。設定した等圧面または等密度面に滞留した後に海面に浮上し,衛星を通じて自らが測定した水温・塩分・圧力とその位置を送信する。海洋内部では,浮力の効果によって水は基本的に等密度面に沿って流れるため,等密度追従型のフロートは海洋内部の循環場を知るための有効な手段である。パネルCは,文部科学省プロジェクト研究SAGEのもと,気象研・東大と共同で東北水研が2001年5月に親潮域に投入したAPEX2系(追従密度は26.7σθ)の軌跡である.1系が親潮域から黒潮域に入っていっていく様子が見られ,中層における亜寒帯循環と亜熱帯循環の水交換プロセスの一つが確かめられた。
(混合域海洋環境部海洋動態研究室 清水勇吾)