創立50周年に寄せて

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川本省自


 東北区水産研究所は、昭和24年6月に千葉県野島崎以北、北海道に至る東北海区における特徴的でかつ重要な水産業に関する試験研究を行うため、宮城県塩釜市に設置されました。
 昭和37年4月の利用関係研究の東海区水産研究所への集中化に伴って、東北海区における沖合漁業、沿岸漁業、海面養殖業に対応して、これらが対象とする水産生物の生理・生態などの基礎的基盤的研究、海洋環境の変動機構と、それによる漁場形成機構の解明、主要漁業対象資源の評価・予測・管理、増養殖生産の安定と向上などを目的として調査研究が行われてきました。
 また平成8年の国連海洋法条約の発効と、これに基づき平成9年に行われた漁獲可能量管理制度の導入等の状況の変化に対応して、平成10年10月に水産研究所の組織改正が行われ、東北区水産研究所は親潮と黒潮に挟まれた特異な北部太平洋混合域における調査、研究を担当することになりました。
 このため、八戸支所にTAC設定に関係する研究部門を集約するとともに、混合域海洋環境部を新設し、海域の生物生産物に関して統一的な研究が推進できる体制作りがなされました。さらに、「作り育てる漁業」等海区における沿岸漁業及び増養殖業の振興に資するための研究を行う、海区水産業研究部新設が行われました。
 以上のように研究組織は移り変わってきてはいますが、設立以来50年間東北区水産研究所は一貫してこの水域における水産業の研究の中心として、数多くの分野で研究成果を収めてきました。
 漁業資源の分野では、カツオ・サンマ・イカなどを中心として、資源生物の生態、資源変動機構の解明等の研究により常磐沖・三陸沖大中型まき網漁業、沖合底曳網漁業、サンマ棒受網漁業、イカ釣漁業の発展に大きく貢献してきました。
 また、沿岸海域における増養殖の分野では、アワビ・ワカメ等の増養殖技術の開発により、この海域における沿岸漁業者の生活の向上に貢献されました。
 さらに海洋環境の分野では、三陸沖合の親潮と黒潮暖流、津軽暖流が複雑に混じり合ういわゆる混合水域の物理的構造及び栄養塩類の分布、動植物プランクトンの種組成や分布について調査を実施し、世界三大漁場の一つである三陸沖合漁場の物理的・生物的環境変化機構の解明について貢献されました。
 これらの研究成果は、歴代の所長をはじめとする研究所職員各位の御尽力の賜であり、深く敬意を表する次第であります。
 平成11年7月に行政改革法が成立し、水産庁の試験研究機関は平成13年4月をもって独立行政法人に移行することが決定されました。
 東北区水産研究所も創立50年目にして、独立行政法人という今まで我が国において前例のない制度のもとで、新たな出発をすることになりますが、過去50年培ってきた研究成果をもとに所長以下職員一体となって、この事態を乗り越えて21世紀に向けてさらなる水産業の発展のために、よりいっそう尽力されますことを希望するものであります。
(水産庁 資源生産推進部長)

Shoji Kawamoto

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