(1) | 天然資源の分布していない海域にアワビを移殖する放流事業は,一定の放流効果実績を上げる段階に達している.しかし,これまでの実施例では天然個体群の棲息海域に人工種苗の移殖が行われており,天然個体群との関係が不明確である.この手法は,再生産が期待できない海域や,新たに造成した漁場で実施され効果を上げることに向かうべきである. |
(2) | 天然資源の棲息域では,天然の再生産に添加できる産卵量をもたらす母貝集団を形成することを目標にして種苗を移殖することの有効性を検討すべきである. |
(3) | 資源の回復のためには,海藻群落の広がりを基礎とした漁場の類型化が必要である.この類型化によって,資源の現存量も正確に把握でき,種苗の発育段階にふさわしい海域が明らかとなる. |
(4) | 天然資源の減少を来してしまった漁場に資源を回復させるためには,外部からの資源添加である.幼生の移殖や,親の移殖は経済的に無理があるので,人工種苗を用いることが合理的である. |
(5) | 加入の増加量と漁獲水準の適正な管理が必要である. |
1) | 資源増殖部 藻類増殖研究室, |
2) | 東北大農 |