研報58掲載論文の紹介

潮境域におけるカツオ回遊魚群の行動生態および生理に関する研究

二平 章



 潮境域は陸棚や湧昇域とともに回遊性浮魚類の重要漁場であり、これまでにも多くの研究がなされてきた。しかし、潮境の海洋構造と漁場の位置関係を示す事実記載的な研究がそのほとんどであり、魚群の行動生態学的あるいは生理生態学的な研究は皆無に近い。魚群の回遊行動や資源量変動に伴う回遊域の拡大・縮小の機構などの問題を、生物と環境の相互作用の面から解明し、また、これらの生態学的な知見を基礎とした漁場形成や漁況の予測手法を改良するためにも、魚群の回遊行動に対する生理生態学的な研究が必要である。
 本研究は、東北近海の潮境域に来遊するカツオを対象として、主に標識放流と流し刺網調査および体温測定により、その回遊行動と生理および潮境域との関連性を明らかにした。

茨城県水産試験場

Akira Nihira

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