若鷹丸の甲板部作業

大須賀 豊


 本船は、作業甲板を船尾に配置したことによって、広い作業場所を確保することができました。同甲板上には各種のウインチ、クレーンなどを装備することが出来、調査、観測、漁撈作業の機械化、省力化が図られ、作業の安全性とともに容易性についても細やかな配慮が施され、甲板部作業の軽減が実現されています。

1.クレーンと甲板部作業

 中央の伸縮式CTD用クレーン、船尾の多折汎用クレーン及び救助艇用クレーンの三台のクレーンが装備されたことにより、洋上における観測漁撈作業においては大型の調査観測機材でも容易に作業ができ、停泊中の岸壁における調査機材の積み込み、陸揚げも短時間に、容易に、安全に出来るようになりました。
 CTD及びCTDオクトパスは人間の背丈を超えるほど大型の観測機器です。ウインチ操作は統合管制室にて全体の作業状況を監視しながら行いますが、船上から海面までの繰り出し或いは海面から船上への取り込みは、CTD観測クレーンによって一人で安全確実に操作ができます。CTD観測クレーンは、6,000m観測ウインチや1,000m観測ウインチの観測用ダビッドとして使用される他、重量物移動に多目的な使用が可能です。

2.作業の安全性

 揺れる船上作業において、作業の安全性の確保については特に注意しなければならない事柄です。本船の作業甲板には、四台の甲板監視カメラの設置、多数のマイクとスピーカの設置、多くの夜間照明用投光器の設置などによって、統合管制室でのウインチ操作及び作業の安全確認が確保され、安心して調査観測作業に従事することができます。

3.トロールと甲板部作業

 若鷹丸は歴史的にトロール調査が重要な調査項目として位置付けられ、本船もその流れを継承しております。大型化された本船の運航能力に見合ったトロール漁具は当然大型になり、一つ一つの部品がかなりの重量を有しております。これを少人数で実施するためには省力化を考慮した機械化が必要になってきます。
 本船のトロール装置はワープウインチを分離型にするとともに、ネットウインチ、多折クレーン、タングストッパー付きトップローラー(張力計、線速計及び線長計センサー装備)などを導入することにより作業の簡素化を図り、トロール作業としてはコッドエンドの繰り出し、オッターボードの取り付け、取り外し、クレーンの操作及び遊びワイヤーの着脱のみになっております。勿論揚網後にはサンプルの処理を行います。

4.航海当直と統合管制室

 甲板部作業として航海当直は重要な職務です。
 本船には、統合管制室が採用され、これまでの船橋と違い、機関部、無線部の他の部の人達と同じ場所でにぎやかに当直することになり、前よりも視野が広くなりました。
 統合管制室は、壁等の障害物が極力除去され四方の視界が良くなり、甲板監視カメラによって船尾作業甲板も監視でき、楽しく航海ワッチ見張り等を行っております。
 また、出入港時の投錨、係留作業は、複数の係船機が設備されしかも遠隔操縦ができることによって省力化され、作業が軽減されました。

5.船内生活

 乗組員の部屋は全て個室になり、生活器具が完備されており、居室でも現在航走している場所や甲板作業状況がテレビを通じて判るのでとても便利になりました。衛生設備など浴水循環装置の設備によって入浴は24時間可能となり、また、トイレは真空式が採用されたことによりいつも清潔に保たれ、清掃の労力も軽減されています。

(若鷹丸 甲板長)

Yutaka Osuga

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