新任の挨拶

伊藤進一

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所属東北区水産研究所 海洋環境部 海洋動態研究室(平成7年4月1日〜)
出身北海道


 平成7年3月に北海道大学大学院を修了し、4月1日付けで東北水研に配属になりました。大学そして大学院と海洋物理学を専攻してきましたが、卒業論文では沿岸密度流に伴う不安定波を中心にまとめ、修士論文では北太平洋を中心とした海洋大循環モデルを作り、季節変動が海洋の水塊構造に及ぼす影響を調べました。ハッキリ言って卒論、修論ともそれほどのものではありませんでした。博論では、長周期変動について研究し、海洋大循環モデルを用いた数値実験、理論モデルを用いた理論解析、そしてアラスカ湾での長期データのデータ解析を行いました。この結果、海洋が自分自身で数十年という周期の変動を励起する可能性があることを導き出しました。この研究は、自分でいうのも何ですが、自信作です。ただ、研究のスタイルとして、数値モデル(架空の海)->理論解析(頭の中の海)->データ解析(現実の海)という順路を通ったのが残念です。近年の観測技術の躍進、そして地球環境問題への関心の高まりといった追い風に乗って、全球的に海洋観測が強化され、今までには見えなかった現象も捉えられるようになった今、研究のスタイルとして、現象の把握(現実の海)->理論による説明(頭の中の海)->予測(数値海)という順序を取る方が、海洋学に貢献できるのではないかと思います。東北水研は、後者の研究スタイルを取るには格好の場所と考えていますが、東北水研に来てカツオ予報会議に出たとたんSCM(カツオ循環モデル)を作りたくなってしまい、前者の道を歩き始めつつあります。今後、どのような道を辿るかわかりませんが、海洋物理学だけでなく海洋学の発展に貢献したいと思います(言うのは簡単ですが)。どうぞよろしくお願いいたします。
Shin-ichi Ito

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