谷口藻類増殖研究室長らの発明が特許認定

−大型別枠研究「マリ−ンランチング計画」の中で−

今田 了



 この度、当所資源増殖部の谷口和也藻類増殖研究室長と株式会社新潟鉄工所の松下博昭技術開発センタ−長の両名は、共同で考案した海中作業用機器の特許権を取得したので紹介致します。
 発明は、海中において岩礁などに孔を穿って、様々な金具を取りつけたり、海底や船底を清掃することができる多目的の「ハンマ−ドリル」(平成5年4月23日、特許第1756819号)と、岩礁や投入されたコンクリ−トブロックなどに固着している動物など付着物を掻き取るのに主として用いる「水中掻き取り装置」(平成5年5月20日、特許第1758792号)の2種類です。
 谷口室長らは、昭和55年度から9年間実施された大型別枠研究「マリ−ンランチング計画」の中で、磯焼け海域における海中林造成技術の開発を支援する機器として、機器開発費によってこれらの機器の開発研究を行いました。海中林を造成する際、内湾域においては固着動物などの海底付着物が海藻の胞子や遊走子の着生にとって大きな阻害要因であり、人工種苗の移植に際しても障害となっていました。これまでは、付着物の除去や清掃並びに人工種苗の海底への移植や養殖ロ−プなどの海底への固定はすべて潜水士による人力で行われていましたが、これらの作業は海中で行われるため、非常に煩雑で能率も著しく低く、さらに危険をともなうことが多分にありました。今回の発明特許は、実際にこれらの苦労を永年経験してきた谷口室長と国際的にも優れた油圧装置の技術をもっている新潟鉄工所の松下センタ−長とが6年間にわたって共同で開発し、実地試験によって検証してきた成果が認定されたものです。これらの発明によって、海底付着物の除去、海底および船底の清掃、人工種苗の移植、ロ−プ養殖を始めとした様々な海底施設の設置が極めて短時間で効率的に行えるようになりました。
 これらの機械は汎用性が高いので更に広範な用途が考えられます。今回の特許の認定によって、試験研究機関や漁業協同組合並びに調査関連会社などから大きな期待が寄せられることでしょう。

(庶務課課長補佐)

Ryou Imada

目次へ