表紙写真の説明


 宮城の伝統的な漁法の一つである「すくい網」は、昔から牡鹿半島沿岸に春を告げる風物詩として親しまれてきた。この写真は「すくい網」によるオキアミ漁の風景である。「すくい網」による漁獲対象はイカナゴ(地方名:メロウド)とツノナシオキアミ(地方名:イサダ)であり、ともに三陸・常磐沿岸の重要な漁業資源となっている。
 この漁法ではアゾと呼ばれる長さ10〜15m、直径20cmの2本の丸太をV字状に組んだ主柱に網をつけた独特な漁具を用いる。これを5〜10トン級の小型漁船の舳先に取り付ける。魚群探索中はアゾと網をたたんで航走するが、魚群を発見するとアゾを海中に突き立てて、海面近くに浮上した群に向かっていく()。そしてこの2本のアゾを操作しながら、網でオキアミをすくい上げるというダイナミックな漁法である。
(撮影:竹内 勇、文:小達和子、図:小谷祐一)

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