畔田正格



 4月1日付けで養殖研究所に配置換えとなり、転出いたしました。生まれて初めて過ごした北国での2年間は全てが新鮮に感じられ、公私ともに充実した生活を送らせていただきました。
 高い生産力をひっそりと秘めた東北の海での野外調査や意気盛んな方達との議論を通じて確信できたことは、これからの水産業は農業のアナロジーだけでは限界があり、増養殖技術といえどもエネルギーを多用し、自然の力を人為的に管理しようとする方向から、自然の摂理に、そのしくみを最大限に利用する方向へ転換する必要があるということでした。また、テニスやサッカーなどのスポーツの仲間に加えてもらって強く感じたことは、勢いに乗っている組織は多少マナー等に問題はあるにしても、多様な人材を包みこんでその個性を目的に向かってクリエイティヴに発揮させるしくみが備わっているということでした。今後、東北水研で学んだ事を糧に、「自然な流れとして動く、システムとしての増養殖技術」の発展に微力をつくしていきたいと考えています。
 私達が目指している“つくり育てる漁業”をかけ声だけでなく、実体化するためには自然のしくみの総合的な理解が前提となります。豊かな自然が残されており自分の哲学(美学)としなやかな心を持った研究者の揃っている東北の海でこそスケールの大きな夢の実現が期待できると考えています。塩釜を離れるにあたり、お世話になった東北水研及び東北ブロックの試験研究機関の皆様の今後のご発展とご活躍をお祈りして、ごあいさつとさせていただきます。
養殖研究所企画連絡室長

Masanori Azwta

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