表紙写真の説明


 1987年度予算で、東北水研にも念願の衛星画像受信解析システムが導入された。このシステムにより気象衛星ひまわり、NOAAから送られてくる画像情報をリアル・タイムで利用できるようになった。この写真は気象衛星NOAA11号による本年6月の赤外画像で、東北海区の海面水温分布を表している。黒→赤→黄→緑→青→紺→白の順で、高温部→低温部を示し、白い部分は雲である。
 東北海区では、南からの黒潮系暖流と北からの親潮系冷水、それに三陸沿岸を南に流れる津軽暖流系水が、様々な時空間スケールで入り組み複雑な海況を形成している。この画像にも、三陸近海を金華山付近まで張り出している親潮第1分枝、金華山沖と色丹島沖の2つの暖水塊(WR)、複雑な形状の潮境など、東北海区の海況の特徴がよく現れている。金華山沖の暖水塊には南側の黒潮続流域から暖水ストリーマが伸び、西側から時計回りに暖水塊の縁をとり囲んでいる。中心部の水温が低く、ドーナッツ状の構造になっているのがよくわかる。暖水塊の東側には暖水塊に巻き込まれるように冷水が楔状に分布し、さらにその東(沖)側まで暖水が北に強く張り出している。この暖水域(画像では濃いピンク色の部分)がカツオの北上経路になっている。
 一方、色丹島沖の暖水塊も時計回りの流れに伴ってその南側へ細長く冷水を引き込んでいる。この後7月中旬になると沖合の暖水域(画面右端の黄色〜淡いピンク色の部分)から暖水ストリーマが伸び、この暖水塊にも暖水が補給されている様子が衛星画像によって捉えられている。
(海洋動態研究室 村上眞裕美)

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