最近の東北沿岸におけるオキアミ漁業

竹内 勇



 オキアミは,マダイ,ニジマス,ギンザケなどの養殖業や遊漁の撒き餌に利用されるため,その需要は年年高まりつつある。1983年以降の総水揚げ量は,連続して4万トンを上廻り,メロードと共に沿岸漁業者の貴重な収入源となっている。1984年の2〜4月には,異常冷水の影響もあって,初めて5万トンを超えたが,一方で価格が1キログラム当り10円台まで暴落し,大漁貧乏に終ったことは,すでに,本誌前号に掲載されている。この年のオキアミ漁獲物中には,従来のツノナシオキアミ(Euphusia pacificu)とは別種のオキアミ(Thysanoessacnermis)が混獲され,金華山付近まで分布したことは,特異現象である。
 宮城県のオキアミ漁業は,伝統的な抄い網漁法であるが,数年前から,省力化の観点から,ポンプを設備した漁船が見られるようになった(写真1)。オキアミは,魚捕りの末端から船尾まで,海水と共にホースで送られ,船尾の外側に取付けられた網でろ過され篭に集められる。
 宮城県以外の県では,抄い網も一部で使われているが,その他は舟曳き網(写真2,岩手県の場合)又はシラス曳き漁法である。この場合には,魚群探知器を利用して,水深100mまでも群を追うことができる。
 今年は,福島県では6月上旬まで,茨城県では,6月下句まで水揚げが持続したのもこの漁法の成果である。将来も,採算が合えばこの漁法によって水揚げ量が増加することも考えられる。
(資源部第3研究室長)

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