転勤雑感

森 英夫



 4月1日付け配置換えにより、東北水研へまた復帰することとなり5カ月が過ぎようと しています。東海水研勤務が1年4カ月と余りにも短い期間だったので、漸く馴れた頃に転出する ことになり、東海の皆さんには迷惑をかけただけでお別れすることになり申し訳ありません。 とりわけ総務部の皆さんには、迷惑をかけたことだけでなく色々と教えていただき、ご支援下さった ことに深く感謝しております。
 今ローカル線(仙石線)でのんびりした通勤をくり返しておりますが、東京郊外から池袋・ 銀座・築地とラッシュアワーを乗り継ぎ通勤したことは夢のようです。
 ふり返ってみると水研生活30年の間に3カ所の水研に勤め、往ったり来たりもあって 今回で4度目の転勤を経験したことになります。転勤することにより、多くの未知だった人との 出会いの中で学んだものは計りしれないものがあり、私にとっては、無形の貴重な財産だと思って います。ただ転勤の度に感ずることは、「習慣」という厚い壁です。各水研それぞれに歴史と伝統と があり、自然に慣習というものが形成されるでしょうが、転勤して行った場合に感ずる違和感や 戸惑いは何処へ行っても多かれ少なかれあるものです。
 そこにずっとおられて30年、20年と暮らしてきた人にとっては極めて当たり前の ことなのでしょう。したがって、他所からきてそこの「慣習」を批判でもしようものなら大変です。 ここは今までこのようにしてきたからの一点張りで、話合いの余地すら失うという場面に、しばしば 遭遇することになります。諺に、「郷に入れば郷に従え」、「長いものには巻かれろ」などがあり ます。新参者は黙っていよう。早くここの家風になじもうという姿勢にならざるを得ません。 やがて何年の経てば、その慣習に慣らされてしまい、どうということは無くなるのでしょうが。
 誰でもが前にいた所に郷愁があり、新天地になじむのに時間がかかるという側面はあると 思います。一方、古くからそこに居る人にとっては自分達の築いてきた慣習が絶対に正しいという 信念があるのでしょう。しかし、職場の慣習というものが、場合によっては仕事までもがんじがらめに している状態はどうかと思わざるを得ません。所内の予算配分など正にそのとおりで、改善しようと 考えれば大きな障害に、たちまちぶつかりそうです。
 慣習を作るのは人であり、それを守のも人です。人が変われば慣習も自ずと変わってゆく のでしょうが、今ほとんどの水研が30年以上、或いは20年以上継続勤務している人達が過半数を占めている状態で あろうと推察されます。理想を云えば機会均等の転勤によって人事が刷新されてゆくべきでしょう。 少なくとも総務関係では事情の許す人はどんどん転勤し、9カ所の水研で自由な移動が出来る状態が 近い将来に実現すればいいと思います。
 転勤するということは家族のことやら、新天地への不安やら何かと大変なことではあります。 でも住めば都というではありませんか。国内の水研をくるくる廻って歩けるようなそんな時代がくる ことを期待します。
前 東海区水産研究所総務部会計課長補佐  庶務課長

Hideo Mori

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