昭和56年東北海区の底びき網漁業とその資源の概況

三河正男



1.概況
 全般的にみて漁獲量は頭うちの上,魚価の低迷と燃油の高騰で,漁業関係者の苦悩は深い。以前日帰り操業であったものが,燃油の節約のため2・3日航海にきりかえた漁船もある。しかし,休漁ギリギリの線に追いこまれている漁船が少なくない。


2.昭和56年に目立った現象
 (1)金華山周辺海域で,春先から体長16p位(1才魚)のスケトウダラ幼魚(ミズタラと呼ばれる)が特に多く漁獲され,石巻魚市場では1日300トン以上の水揚げが続いた。これが秋になると更に小さいスケトウダラ幼魚(体長11p位の0才魚でマメタラと呼ばれるもの)が多獲された(約1,000トン)。11月頃からは深海指向となり,ソコダラ類(市場ではヒゲダラと呼ぶに漁獲の中心が移っている。
 (2)常磐沖ではマダラ幼魚(全長15p位)が秋に多獲され,1隻1日2トン位の水揚げがあったが,ミールの原料にしかならず,魚価は極端に安い。また,トウジンの幼魚(全長20p位)が多獲されたことも特異現象で,1隻1日0.5〜1トンの水揚げがみられた。これは主に小底で水深300m前後からの漁獲である。
 (3)常磐南部沖のサメガレイは,昨年・1昨年と不振であったが,12月頃からやや好漁がみられている。

(八戸支所第1研究室長)

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