1978年度UJNR水産増養殖専門部会の活動について

菅 野  尚



 海洋生産力の分割時代に突入して以来,増養殖技術開発への国際的な関心が急激に高まるなかで,天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)水産増養殖専門部会の活動は,日本の水産増養殖の実践的技術の確かさとアメリカの国際的影響力を融合させた形の国際的レベルの活動として注目を集めるようになりました。特に本年度は第7回水産増養殖専門部会合同会議と現地検討会1978年10月3日〜11日(後述),UJNR/MRECC(海洋資源工学調整委員会)10月12日東京,UJNR第9回日米本会議10月25・26日東京,さらには日米議会政治評議会第1回東京シンポジウム11月13日〜18日,などを通じて,これまでになく水産増養殖専門部会の活動が脚光をあびた年でした。
 1968年に設立が日米両国で承認され,1971年に第1回目米合同会議を東京で開催した水産増養殖専門部会は1976年の合同会議で,1977年から海藻類,海産魚類,淡水魚類,甲殻類,貝類の順でそれぞれの増養殖について,毎年研究者の交流を軸に,情報交換と協同研究を行なうという5ヶ年計画を決めて部会活動を行なっています。本年度の合同部会活動は次の様に実施されました。御協力と御支援をいただいた関係各位には厚く御礼申し上げます。


第7回水産増養殖専門部会日米合同会議
(1978年10月3・4日,東京;南青山会館)


 海産魚類増養殖についての研究交流と部会活動計画の打合せが主題。出席者は米国側W.N.ショウ部会長ほか13名,日本側佐藤部会長ほか28名。日米両国から次の7課題の研究を紹介(いずれも英文報告)。

1)日本のハマチ養殖の現状と将来展望南西水研松里寿彦氏
2)日本のマダイ養殖の現状,完全養殖の試み南西水研岡本 亮氏
(代読松田寿彦氏)
3)有用海産魚の種苗生産における幼魚期の生物学的特性について南西水研福原 修氏
4)高知県における養魚の実態高知水試谷口道子氏
5)太平洋産サケ養殖における餌料添加蛋白源としての石油酵母NMFSC.マッケーン氏
6)アメリカにおけるスズキの養殖FWSR.ステイブンス氏
7)アメリカにおける各種海産魚類養殖の現状紹介

 また部会活動については,研究者の交換プログラム,日米の協同研究課題,並びに1979年度活動計画の打合せが行なわれ,共同声明として取りまとめられました。
 引き続き10月5日より10日に互って,現地検討会が次の4つの班に分かれて開催されました。

A班:課題:海産魚類養殖
場所:四国地方(高知,愛媛県下)
協力機関:南西海区水産研究所,高知県,高知県水産試験場,
愛媛県,愛媛県水産試験場,瀬戸内海栽培漁業センター
日本側担当委員:斎藤雄之助(南西水研),藤谷 超(淡水研)
米国側出席委員:W.N.ショウ部会長ほか10名
B班:課題:東北・北海道の水産増養殖
場所:東北・北海道地方
協力機関:東北区水産研究所,北海道さけ・ますふ化場,宮城県栽培漁業センター,
岩手県サケ実験施設,かき研究所
日本側担当委員:鬼頭 鈞(東北水研)
米国側出席委員:P.アイドル委員,P.M.ロエデル委員
C班:課題:水産への温排水利用について
場所:東北・関東・中部・四国地方
協力機関:東海区水産研究所,東北区水産研究所,
かき研究所,温水養魚開発協会
日本側担当委員:菅野 尚(東北水研),田中二良(東海水研)
米国側出席委員:W.ヒュバアート委員
D班:課題:ウナギ養殖
協力機関:淡水区水産研究所,東京大学浜名湖臨海実験所,
静岡県水試浜名湖分場
日本側担当委員:藤谷 超(淡水研)
米国側出席委員:W.リッカード委員,W.N.ショウ部会長

 1978年度UJNR水産増養殖専門部会の日本側委員は次の通りです。部会活動に関しての詳細は,水産研究所の委員或いは事務局に問い合わせて下さい。

部会長:佐藤重勝(東北水研所長)
副部会長:藤谷 超(淡水研)
委員:須田 明・本間昭郎(水産庁),三本菅善昭(北水研),小金沢昭光(日水研),
梅林 脩(東海水研),和田浩爾・矢野 勲(真珠研),斎藤雄之助(南西水研),
浅見忠彦(西水研),江草周三(東大),古川 厚(海生研)
事務局:菅野 尚・鬼頭 鈎(東北水研)

(増殖部長)

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