増殖研究施設の建設


 ここ数年来懸案となっていた増殖研究施設の建設がようやく本決まりとなった。現在の増殖研究者が抱いている夢は大きいので,その全部を満たしたとは云えないが,現実に当面している課題と研究段階に略々ふさわしい内容を盛ったものになりそうである。現場の研究者の声を辛抱強く聞いてくれた農林水産技術会議,水産庁,地方建設局の皆さんの協力に負うところが大きい。
 予算は2年計画7,531万円で,これとは別に45年度に外来研究員施設785万円も予定されている。建設用地は本館の北西隣で,外観も充分考慮に入れた地建の設計によって略々本館と相似形で同じ向きの2階建になるので,兄弟の形で同じ台地の上に並ぶことになろう。この台地から観測器具格納庫を経てボートハーバーへ,人間は階段,実験材料はリフトで,迅速且つスマートに連絡できるようになる。
 最近県水試等でも立派な施設が次々と建てられているが,基礎研究の施設に欠ける点が多いので,この研究施設はその欠点を埋める国立水研の立場も考慮して設計されている。建坪は約864平方メートルで,電子顕微鏡室,菌類実験室,代謝実験室,飼育実験室等本館にはない幾つかの機能を持つ実験室からなり,固定した飼育池はないが,加熱装置付きの海水供給設備を備え基礎的な流水飼育実験を行なえるようにしてある。
 今年度施工分は約5,000万円で目下入札の準備中であるから,恐らく11月頃着工し来秋には竣工,使用開始の運びになると思われる。

kiren

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