漁況についてはスルメイカとサバグループに分かれ,漁況の経過につき各水研,水試より報告,問題点等を討議し,現況の分析,集約を行なうと共に,これと先に行なった海況の現況と予想に基づいて予報を作成した。
今夏の小型イカは早く北上し,北部沿岸近海に多く分布しているが,釣漁の対象となる群は北上がおくれ,魚体も例年より小さい。しかし本年の沖合暖水の北上の程度はかなり進んでおり,次第に漁況は快復し,平年並の漁況が予想される。
平年漁獲量(昭和39〜43年平均): | 青森県太平洋側 | 26,532トン |
| 岩手県主要5港 | 16,000トン |
U サバ
予測対象の漁業 まき網(道東・三陸),定置網,その他
予測対象の漁期 7〜9月
予測対象の漁場 道東・三陸海域
予測
〔来遊資源量〕 太平洋系群全体の資源量は高水準が維持されていると考えられる。しかし今期道東・三陸海域において漁獲の主体となると思われる昭和41年生まれ(3年魚)の動向が今冬来不明であり,また伊豆諸島海域で多獲された4・5年魚も自然死亡を考慮すると,この海域への来遊量は相対的に減少しよう。従って各地の漁期前情報の少ない現段階では全体の来遊量(成魚主体)も豊漁であった昨年ほどに達しないと判断される。末成魚については近年水準で比較して42年生まれ(2年魚)はそう多くはないが,43年生まれ(1年魚)の数量は多いとみられる。
〔漁場〕 初漁期の道東まき網漁場は釧路沖暖水塊の西縁の42°00’N,146°30’E付近に形成されよう。
三陸沖では宮古沖暖水塊の北縁部に相当量の魚群が分布している。これらは時期が進むにつれて北上し40°00’N線以北の道東沖合に達するが,その接岸程度は昨年ほどではないであろう。
〔漁獲物の年令組成〕 従来の例では平年的な道東・三陸海域の年令組成ほ3年魚主体であった(43年2年魚主体)。しかし先に述べた通り本年の3年魚の動向の予測は難かしく、平年的な年令組成が維持される見通しはたたない。
現在までの漁獲物の組成をみても尾叉長35cm以上の大型魚と尾叉長30cm前後の中・小型魚主体になっていて3年魚は出現していない。
大型魚の出現は初漁期の特長であって,次第に小型になるのが一般的傾向である。この傾向は本年もあらわれようが,3年魚の出現は少ないので漁期全体の年令組成は昨年につづいて若年魚主体(2年魚)と推定される。
〔漁獲量〕 漁場位置が昨年よりも遠いこと,来遊資源の年令組成が若年魚主体と推定されること等から道東まき網の漁獲量は昨年よりも下回ると考えられる(昨年152,000トン)。
八戸沖まき網は未成魚主体の漁獲があろうが,今期は本格的な漁況にはならない。三陸海域の定置漁況は平年を若干上回る(岩手県置網主要5港昭和34〜42年平均3,600トン)。
注:本文中アラビア数字+”年魚”のアラビア数字は原文ではローマ数字です
kiren@myg.affrc.go.jp
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