平成12年度北西太平洋サンマ長期漁況海況予報(漁況)

<魚群分布>
1.季節別加入量水準
1)秋季発生群
 各県水産試験場等、東北区水産研究所が1999年9〜12月に35°42′〜42°15′N、141°02′〜152°05′Eの海域で行った仔稚魚調査により、秋季における仔稚魚の分布密度を求めた。仔魚の分布密度(時刻・体長の補正を行った仔魚(〜25mm)採集尾数 / 曳網点数)は2.0(尾 / 曳網)、稚魚(25〜50mm)は0.11(尾 / 曳網)で、過去10年間で最低の水準にとどまった。
2)冬季発生群
 各県水産試験場等、中央水産研究所、東北区水産研究所が2000年1〜3月に28°00′〜37°50′N、130°00′〜141°30′Eの海域で行った仔稚魚調査により、冬季における仔稚魚の分布密度を求めた。仔魚の分布密度は26.5(尾 / 曳網)、稚魚は2.92(尾 / 曳網)と、過去10年間では比較的高い水準であった。
3)春季発生群
 各県水産試験場等、東北区水産研究所が2000年4〜6月に27°19′〜41°01′N、138°15′〜157°37′Eの海域で行った仔稚魚調査により、春季における仔稚魚の分布密度を求めた。仔魚の分布密度は24.7(尾 / 曳網)、稚魚は12.96(尾 / 曳網)と、ともに過去10年間で最高の水準であった。
2.北上期(5、6月)の魚群分布
 5,6月に行われた北上期の常磐・三陸沖における茨城水試(水戸丸)、福島水試(いわき丸)、北水研(若竹丸)、北海道大学(北星丸)、東北水研(北鳳丸)による流し網調査および中央水研・東北水研(俊鷹丸)による中層トロールによる調査では、沿岸から155゜E付近までサンマが採集され、魚群は沿岸から沖合まで広く分布していたと考えられた。全調査点における調査用流し網一反あたりの平均採集尾数は2.3個体で、1999年(0.5)の4.3倍と大きく上回ったが、1998年(2.2)並にとどまり、1996年(4.3)、1997年(6.4)を下回った。魚体は28cm以上の個体が6割以上を占め、大型の個体の比率が高かった。
3.漁期前(7、8月)の魚群分布
 北海道立釧路水試(北辰丸)、岩手県水産技術センター(岩手丸)、宮城県庁(新宮城丸)、宮城県水産研究開発センター(拓洋丸)および東北区水産研究所(開洋丸)による千島列島沖合から道東・三陸沖合調査では、サンマは154゜E以東の沖合海域で多く採集された。漁獲されたサンマの体長は小型から大型にわたっていたが、大型魚はモードの中心が32cm付近にあり、非常に大きかった。このほか、146゜E以西の沿岸近くでもわずかながら採集され、体長のモードは20cm付近と31cm付近にあった。流し網一反あたりの採集尾数の平均は10.4個体であり、1999年(15.8)をやや下回った。
4.棒受け網10トン未満船、流し網船等の漁況
7月の流し網船漁場は落石沖および襟裳沖(表面水温14〜17℃)に形成され、大型魚(体長29〜32cm)主体に漁獲された。一方棒受け網船は、大型サンマの灯付きが悪かったため、漁獲はわずかで、漁獲物は中(24〜29cm)・小型(20〜24cm)魚主体であった。7月31日までの棒受け網および流し網船の漁獲量は260トンで、不漁年であった1998年(20トン)、1999年(7トン)を上回ったが、1996年(1,943トン)、1997年(1,505トン)よりは低い水準にとどまった。
8月に入り、棒受け網10トン未満船が道東および南部千島列島沖合いに出漁しているが、漁況はおおむね不振である。わずかに択捉島南南東100〜150海里で1隻1日あたり2〜4トンの漁獲がみられた。魚体は大型魚が6〜7割であった。流し網船は落石南沖30〜60海里(表面水温18〜19゚C台)で操業し、1隻1日操業あたり平均0.3トンの漁獲があった。魚体は31〜32cmの大型魚が主体であった。
 韓国船は8月1〜3日に、44°N、158°E付近で1隻あたり5〜10トンの漁獲をした。魚体は大型魚が55%程度であった。

<漁況予報>
(予報期間:本予報は漁期を通しての全般的な漁況を予報するものである。ただし、漁場の細かい推移など現時点で予測し得ないものもあるので、10月中旬に「漁期後半の見通し」を出してこれらの点について補足する。)
 以上の調査結果をまとめると以下の通りである。150°E以西を北上した魚群(沿岸北上群)は昨年よりは多かったものの、豊漁期に比べると少ないと考えられた。また体長組成は、21cmと31cmにモードが認められたが、中型魚はほとんど採集されなかった。一方150°Eより東を北上した魚群(沖合北上群)は広い水温帯で出現したが、魚群密度は前年並みであると推察された。この魚群の体長組成は、26cm、32cmにモードがあり、ジャミサンマも多数視認された。資源量については、沿岸北上群に比べて沖合北上群が相対的に多いものと推察された。
 沿岸北上群が少ないので、漁期はじめの近海の漁模様は低調に推移し、比較的資源量が多い沖合北上群が次第に漁獲対象になる可能性が高い。この場合、当初の漁場は例年より東側のウルップ島以東に形成され、魚群の季節的な移動に伴い、漁場が次第に南西方向に移動するであろう。親潮の分布は平年並みなので、漁場はやがて道東から三陸沿岸に形成されるが、主漁獲対象群が沖合から加入すると考えられるため、魚群の南下は例年より遅れると考えられる。また、色丹島沖及び三陸沖に暖水塊があり、これらの暖水塊の縁辺部で好漁場が形成されるであろう。
1.漁場への来遊状況
 漁場への来遊資源量は、1999年並であろう。ただし、150°E以東に分布する魚群が漁獲対象になるまでは、漁況は低調に推移する。
2.魚体組成
 漁期当初は、大(29〜32cm)・小型(20〜24cm)魚が主体で中型(24〜29cm)魚は少ないが、沖合の魚群が漁場に加入するとともに特大(32cm〜)・中型魚の割合が増える。その後漁期の進行に伴い中型魚の比率がさらに高まり、終漁間際には小型魚の割合が再び増加する。
3.漁場位置
 8月中旬の道東及び南部千島列島沿岸の漁場形成は不振であろう。8月下旬の大型船解禁当初には主漁場はウルップ島の東海域に形成される。漁期の進行に伴って漁場は南西に移動する。魚群の南下が例年より遅れるため、漁場形成時期は道東が9月中旬以降、三陸沿岸が10月上旬以降になるであろう。また、色丹島沖暖水塊および三陸沖暖水塊の縁辺で一時的に好漁場が形成される。