研究項目名 大項目:亜寒帯循環と亜熱帯循環の相互作用に関する研究
      担当テーマ:北太平洋中層水の展開過程の把握

研究参加者名(所属):石川 孝一(気象庁気候・海洋気象部海洋課)
           神谷ひとみ(函館海洋気象台海洋課)


平成9年4〜5月の東経144度、147度、149度、152度、165度に沿った水温の鉛直断面図


平成9年4〜5月の東経144度、147度、149度、152度、165度に沿った塩分の鉛直断面図


平成9年4〜5月の東経144度、147度、149度、152度、165度に沿った密度の鉛直断面図

研究全体概要

 北太平洋西部の黒潮続流域から親潮前線、亜寒帯前線域に跨って南北に走る144゚E線 147゚E線、152゚E線、165゚E線に沿ってのCTD、XCTD、ADCPによる水温、塩分 、 溶在酸素、海流の高密度な観測を凌風丸、高風丸により親潮がこの海域に大きく張り出 す春季に実施し、北太平洋中層水の形成、変質過程を調査する。この観測ではインバー ス法を用いた流量計算ができるように、各定線を閉じるように観測線を付加する。

 また、これらの定線の内、沿岸側の2線については季節毎に観測を実施するとともに 沖合については、水温、塩分の鉛直分布が測定できるPALACEを放流することにより、北 太平洋中層水の形成、変質過程の季節変動についても調査する。

 さらに、165゚E線においては、海面から海底直上までの水温、塩分、溶在酸素、栄養 塩等の高密度、高精度な観測を本研究期間中に1回実施し、これまでに実施されたWOCE のWHP測線のP13の結果と比較することにより、特に、中・深層の海洋構造の10年スケー ルの変動の実態を把握する。

現在までの研究成果、進捗状況

 高風丸の平成9年4〜5月航海において、144゚E線、147゚E線の観測を、凌風丸の平成9年 4〜5月航海において、149゚E線、152゚E線の観測を、凌風丸の5〜7月航海に置いて、165゚ E線及び千島列島に沿う観測を実施した。

 観測時の海況は、黒潮は房総半島沖を北東進し常磐沖に達した後に、144゚E線に沿っ て36゚Nから34゚Nまで南下した後、34゚N付近を東に流れており、165゚E線上では34゚〜35゚N 付近を流れていた。親潮は144゚E線上では41゚30'N付近を、147゚E線上では40゚N付近を、 149゚E線上では41゚N付近を流れていた。また、亜寒帯前線が、152゚E線上では41゚N付近、 165゚E線上では40゚N付近を通っていた。これらの間の混合海域では、(41゚N,144゚E)、(37 ゚N,148゚E)、(40゚N,149゚E)、(36゚30'N,152゚E)、(35゚N,152゚E)付近にそれぞれ中心を持つ 暖水渦が存在した。

 親潮及び亜寒帯前線以南の海域では、北太平洋中層水にあたる塩分極小層が分布して いる。165゚E線上では400〜700m深にポテンシャル密度26.8kg/m3面に沿って、塩分34.1 以下のほぼ一様な塩分極小層がみられるが、その西の定線上では、西に向かい極小層の 深度が浅くなり、その塩分値、ポテンシャル密度の値はより小さい値までみられる。北 太平洋中層水は、この混合海域で形成されていると考えられており、この海域について 様々な等密度面での塩分、溶在酸素量のマッピング、水塊解析を実施し、北太平洋中層 水の形成、変質過程を調査する。また、144゚E線に沿ったCTD観測は、1987年から年4 〜5回実施しており、この定線について、塩分極小層の季節、年々変動を調査する。

 平成10年春季には平成9年と同様の観測を実施するとともに、インバース法 を用いた 流量計算ができるように観測線が閉じるように配置し、この海域に流入する親潮系水、 黒潮系水の流量を把握する。また、東経152度線上で亜寒帯前線を挟むように PALACEフ ロートを2台放流する。