平成11年度第一回分科会 1999年9月24日午後 中央水研

出席者 秋山(東海大学)、緑川(気象庁)、井本(水路部)、津田(北水研)、佐々

木・小埜(中央水研)

 

1. 自己評価表の書き方修正など

2. U期についての考え方

1) 気象庁…PH線(41.5°N)と144°E線の観測を継続して、pCO2が複雑に変化する要因

解明に取り組む。そのために、調査海域のとくに親潮源流域となる親潮第一分枝やオホー

ツク海の炭酸系(全炭酸やアルカリ度)のデータ取得に努めたい。また、pCO2観測時の植

物プランクトン分布を知りたいので、分析する人がいればサンプリングしたい(これにつ

いては、北水研ではマンパワー不足で対応できないとの話となった)。要因解明とともに

フラックスを算出したいので、ライン観測データを面に引き延ばすことを検討する。フラ

ックス計算に不可欠なガス交換係数については、当面いろいろな係数を用いてみる。

2) 水路部…U期への対応で最大の問題は、pCO2を測定できる観測船が利用できるかど

うかで、分科会時には確定していない。もし、観測船を確保できない場合にはU期に参画

できない。時間的にもう少し検討させてほしい。

3) 中央水研…pCO2は今後もある程度測定するが、SAGEでは積極的に対応せず、データ

を気象庁で利用してもらう形で協力する。三陸沖の中層を通じての炭酸系物質の輸送に焦

点をおく。そのために、今まで蓄積してきたデータの解析、とくに中層水(sigmaθ26〜

27.5付近)近傍の炭酸系物質の季節変化を明らかにする。また、データ不足時期(2-3月

)の観測を行う。安田グループとどれだけ共同できるか不明であるが、努力する。

4) 東海大学…ホワイトキャップモデルによるガス交換係数については、その改良とマ

ッピングについては所期の目標を達した。推進委員会で指摘された、U期では係数の妥当

性について検討する。そのために、中央水研で取得してpCO2の連続データと水温、塩分、

風などのデータ解析を行うとともに、今後中央水研の観測時にさらに連続データを取得し

てもらい、解析してみる。

5) 北水研…T期には珪藻と炭酸カルシウム殻をもつとくに円石藻に注目して分布の特

徴を明らかにしてきた。U期にもある程度のこの仕事は継続するが、生物ポンプとしての

植物プランクトンを考えると珪藻の役割が極めて大きく、セヂメントトラップを中心にし

て、生物ポンプの季節変動を明らかにしていくことを重視して取り組む。

6) 全体の相互関係…表層でのpCO2と交換係数、植物プランクトンの生物ポンプの関係

に関することはある程度できる。表層と中層の関係は、親潮域の冬から春のデータと中層

のデータとの関係を見たいが、方法論はこれから検討する。

 

資料

1. 評価の概要と今後の考え方

 U期には、1)表層pCO2問題、2)炭酸系物質循環、3)生物作用の3つに分けて対応

していく。

1-1) 表層pCO2問題…T期には三陸沖を中心とした観測が実施された。この海域につ

いては今まで、表層二酸化炭素分圧や炭酸系物質の分布のデータがほとんどなく、これら

のデータが蓄積されたことがまず評価される。亜熱帯海域の二酸化炭素分圧は、かなりの

部分水温で説明可能であり、そのため予測も可能であるが、亜寒帯域とりわけ西部亜寒帯

域は冬季の混合と春季から夏季にいたる期間における大きな生物生産のため変動が大きく

、人工衛星を用いた手法でも予測が困難で、また季節変化の予測も難しかったが、親潮域

の詳細なデータ蓄積により、SAGEの期間にこの海域の二酸化炭素分圧問題はほとんど解決

されるものと考えられる。夏季に47°N線の調査が180°Eまで実施され、西部域では吸収

域、中央部では放出域という興味在る結果が出されたが、他の季節の調査が実施されず、

季節変化の把握はできなかった。 U期についても、調査船の関係で亜寒帯の西部から中

央部の調査は困難である。

1-2) 二酸化炭素ガス交換係数…ホワイトキャップモデルを用いたガス交換係数について

水温、塩分などの影響についても検討して、理論的には妥当と思われる係数が算出されそ

のマッピングもなされて、予定通りの結果が出されている。今後は、何らかの方法で現場

でこの係数がどれだけ正当であるのかのチェックが重要となる。

2-1) 144°E線における炭酸系物質の分布把握調査が季節を変えて実施され、貴重なデ

ータが蓄積されつつある点は評価される。しかし、炭酸系物質の季節変化とその要因につ

いてはまだ解析がなされておらず、U期に結果を出す必要がある。中層水を通じての人類

起源の二酸化炭素輸送問題は、フロンガス調査により結果が出された点は、当初予定した

いたものではなく、貴重な結果であり、評価される。中層水を巡っては、その中の全炭酸

や栄養塩類などの季節変化の問題が残されていて、データ解析と不足している冬季のデー

タ蓄積が必要となる。

3) 北太平洋亜寒帯域では、二酸化炭素を吸収する珪藻増殖と二酸化炭素を放出する炭

酸殻をもつ円石藻類が存在しているが、その空間的時間的分布は変動が大きく、またその二

酸化炭素の挙動態する影響解明は今後の課題である。このも問題をある程度解決するため

に、U期には親潮域に沈降物捕集装置を設置して、珪藻由来炭素と円石藻由来の宴席を集

める目的で、調査を実施して、これらの植物プランクトンが二酸化炭素の挙動に果たす役

割を明らかにする。

4) これらの成果をまとめて、亜寒帯西部域の炭素と人類起源二酸化炭素の循環の特徴

を明らかにする。