平成9年度第1回「二酸化炭素の挙動」分科会報告

中央水産研究所・海洋生産部・佐々木克之

日時:平成9年10月24日(金)13:30〜15:40

場所:中央水産研究所第四セミナー室(4F)

 

出席者

東海大学:秋山正寿、気象庁:高谷祐吉(緑川氏代理)、保安庁水路部:井本泰司、  

           

北海道区水研:斉藤宏明、中央水研:佐々木克之、科学技術庁:矢吹哲一朗、

(欠席、長澤和也:遠洋水研)

 

議題:1)平成9年度の研究計画と進捗状況

2) 平成10年度以降の予定、計画等

3) その他

(1) データ管理につい

(2) 第2回分科会について

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

報告

 

1. 平成9年度計画と進捗状況および平成10年度以降の計画

1) 「炭酸系物質の時空間分布とその変動要因の把握」

 担当:中央水研海洋生産部・佐々木克之・田中勝久・小埜恒夫

(1) 5月10-22日および8月20-28日に144度ラインを30マイル毎に観測した(観測点は

別紙1,2参照)。

 調査項目:CTD(0-1500m)、採水(ロゼット)20層でDO、栄養塩、炭酸系  

 物質(全炭酸、pH、アルカリニティ)および0-200mの10層でクロロフィル、

 表層についてはEPCSにより水温、塩分、蛍光、pCO2の連続測定

 (2)平成10年度以降の計画

ア. 調査は、144度線について4月および秋に計画しているが、所内の運航計画が1

 2月に決定されるので、現在はまだ確定していない。平成10−11年度にかけ

 て、できるだけ季節を変えて調査を実施する。

 イ.季節変化を把握して、炭酸系物質の変動要因の解明に努める

 ウ.炭酸系物質と塩分、DO、栄養塩の相互関係を検討して、炭酸物質の輸送について

 検討する。

 

2) 「海面二酸化炭素分圧の時空間分布と二酸化炭素フラックスの把握」

 担当:気象庁気象・海洋気象部・緑川貴

    気象庁観測部・小出孝

    函館海洋気象台・神谷ひとみ

(1) 平成9年度進捗状況

ア.平成9年度中に高風丸に二酸化炭素観測装置を搭載し、来年度以降観測できる 

  よう準備する。観測域は北緯41.5度線(年4回)および144度Eと147度Eラ

  インを年2回以上予定している。

イ. 亜寒帯循環西部における二酸化炭素関連物質の基礎資料を作成する。

ウ. 各研究期間が二酸化炭素分圧のデータを共有して利用可能とするデータベース構築

の検討を実施する。

(2) 平成10年度以降の計画

ア. 二酸化炭素分圧の季節変化を把握して(観測域は北緯41.5度線(年4回)および

 144度Eと147度Eラインを年2回以上予定している)、交換係数課題とも連携

 して二酸化炭素の年間を通じた大気海洋間の交換量の推定を試みる。また、全炭

 酸や栄養塩調査も適宜実施する。

イ. データベースの構築を図り、二酸化炭素分圧とこれに関連するデータと解析の成 

  果に関する情報をホームページ等を用いて提供する。また、WMO(世界気象機関)

  準ガスで検定した標準ガスを用意して、参加機関に貸し出しし、それぞれの観測

  標準ガスと比較検討してもらう(別紙3参照)。

 

 3)「亜寒帯循環における二酸化炭素分圧等の観測研究」

 担当:海上保安庁水路部・井本泰司・寄高博行

(1) 平成9年度進捗状況

   8月6-25日測量船「昭洋」で47°N観測線上(別紙4参照)の洋上大気と表層

   海水の二酸化炭素分圧を測定した。

(2) 平成10年度以降の計画

   平成9年度と同様な観測線で二酸化炭素分圧調査を実施するとともに、塩分、溶

   存酸素、栄養塩等の分析を行い、海洋環境の基礎データを収集する。

4) 「炭酸ガス交換係数のマッピングに関する研究」

 担当:東海大学海洋学部・秋山正寿

(1) 平成9年度進捗状況

 北太平洋亜寒帯海域における船舶観測データ、ブイ観測データの海面水温、

 気温、風向、風速、波高データおよび人工衛星マイクロ波の海上風観測デー 

 タを収集し、これらの観測データの空間スケール、時間スケール、精度など 

 の検討を行う。これらのデータを用いて、風浪と海面粗度の関係およびホワ

 イトキャップと海面の摩擦係数等の関係を明らかにする。これらの結果から、

 海面の物理過程を取り込んだ破砕モデルの開発を検討中である。

(2) 平成10年度以降の計画

 上記の破砕モデルを取り込んで実用的な大気・海洋の炭酸ガス交換モデルを

 作成し、その結果を用いて交換係数のマッピングを行う。さらに、観測デー

 タを用いて、炭酸ガスフラックスの算出を行う。

5) 「動植物プランクトンの空間分布とその時間変化の観測」

 担当:北海道区水産研究所海洋環境部・斉藤宏明

    遠洋水産研究所北洋資源部・長澤和也

(1) 平成9年度の進捗状況

      別紙5のように、若竹丸(6月11-25日)で180°Eの39°N−58.5°N、

      北光丸(6月27-7月21日)で165°Eの41°N-51°N調査を実施した。

      さらに、探海丸で北水研の定線Aライン(釧路から39.5°N・146.5°Eの

      ライン)を4月11-17日、5月6-13日、6月30−7月7日、8月21日−

      9月24日(Aライン観測に加えて、千島列島周辺水域調査も実施)、10

      月3-8日調査を実施して、年度内では1月14-19日および3月9-16日を予

      定している。このうち、若竹丸、北光丸調査とAラインの6月30日からの

      調査では、改良ノルパックネット150-0m垂直曳きで動物プランクトンを

      採集、クロロフィルa、円石藻と珪藻および栄養塩については水深別採水

      を行った。Aラインのその他の時期では円石藻と珪藻の調査を除く調査を 

      行った。

(2) 平成10年度以降の計画

 平成9年度と同様な調査を実施するとともに、10年度にはAラインにセ

 ディメントトラップ(2週間に1回採集24個のサンプリング)を1年間

 係留する。円石藻と珪藻の分布の違いとクロロフィルaや栄養塩データを

 解析して、生物ポンプと動植物プランクトンの分布との関連を把握する。

 なお、円石藻の電子顕微鏡による分類のため来年度以降北海道東海大学に 

 予算の一部の委託を希望する。

 

2. 推進委員会に対する要望など

1) データ管理について…調査においては他の予算も関連している場合もあるので、亜

寒帯プロジェクトに参加している各担当が、調査結果の何を提供するのか当初に明らかに

して、運営したら良いと考える。

2) 二酸化炭素分圧のデータ管理およびその利用については、別紙3に述べた要領で「

二酸化炭素の挙動」分科会の気象庁グループで担当することを認めてもらいたい。その理

由は、気象庁グループがWMOの標準ガスを担当していること、また二酸化炭素分圧につい

てもっとも詳しいこと、データは二酸化炭素分科会の内部でまず利用されること、データ

管理分科会のホームページなどとリンクすれば他分科会でもすぐ利用できることである。

3) 「動植物プランクトン」グループから要望が出されている、予算の一部を北海道東

海大学へ委託する件を認めてもらいたい。

4) 第2回分科会は成果報告会とするが、時期や内容については推進委員会の意向を確

かめて決定する。