科学技術振興調整費による総合研究

「北太平洋亜寒帯循環と気候変動に関する国際共同研究」

平成10年度第2回研究推進委員会 議事録

 

【日 時】 平成11年3月26日(金)

【場 所】 科学技術庁第11会議室(通産別館9階)

 

【出席者】

委員長:杉ノ原

委 員:淡路、石井、宇治、柏井、永田、遠藤、佐々木、菱田、深澤、安田、若土

オブザーバー:高芝(水路部)、古川(水路部)、杉本(気象庁)

事務局:矢吹(科学技術庁)

 

【議 事】

(1) 開会

 

(2) 研究推進委員庁挨拶(杉ノ原)

 

順調に計画は進行しているようだが、この3年間でひとまず成果を出さなければならない。省庁再編、観測フロンティア等新たな動きもあるが、科学技術振興調整費による研究は古くから続いており、他のプロジェクトではできないような部分もある。いっそうの成果があがることを期待している。

 

(3) 事務局からの連絡

 

資料の確認

 

・資料3のメンバーリストについては、誤りもあると思うので、またきちんとしたものを作る予定である。

 

(4) 議事(司会:杉ノ原)

 

4−1) 前回議事録確認

 

議事録(案)について、事務局より説明、承認された。

 

・第一回推進委員会の後、e-mail等で議論してデータポリシーができあがった。SAGEのポリシーとしてはこれでいく。(杉ノ原)

・ポリシーに従って、気象研ではp-alaceのデータを、即時的、非即時的に提供している。(宇治)

 

4−2) 平成10年度研究進捗状況

 

「モデル化及びデータ管理分科会」(杉ノ原,淡路)

 

(資料/OHPで説明)

 

・Kurilのところで潮汐を与えてモデル実験をした結果、従来のモード波理論では説明できない非定常Lee波が見られた。オホーツクから太平洋への流れは海峡の深いところでは正の渦度を生じるようになっている。グリッドを5kmから2kmに変更したら、定量的には流量が5Svから10Svになった。(淡路)

・WOAとNCEPのデータを使い、4次元アジョイントデータ同化を始めている。(淡路)

・全球予報モデルのポテンシャルを調べるため、気候学的な季節変動を与えて積分した。黒潮、親潮、インドネシア通過流の流量など、他の研究に近い結果が得られている。(淡路)

・モデルに関しては、遠洋水研とCCSRではこれから新しいタイプのものを開発する。気象研では結果が出てきたところで、解析はこれから。(杉ノ原)

・データ管理では、気象庁のSAGE HPが完備してきた。データのやりとりや、各委員の進捗状況もみることができる。水路部でも情報提供体制が整い非常に便利になったので、有効に使って頂きたい。(杉ノ原)

・水路協会ではメタデータをデータに付加することがメイン。品質管理の調査も行なっている。(杉ノ原)

・気象研の金子さんは、内容が中層水の海域を扱っているので、来年度WG2にはいってもらい、成果としてそちらでまとめてもらうことになった。(杉ノ原)

 

(以下、主な質疑)

 

・データポリシーに関して、モデルと観測の風通しをよくする、例えばモデルの結果を使えるようにする、という話はどうなっているのか。(深澤)

・モデル結果やデータ解析結果もHPに情報を載せて、お互いに使えるようにすることになっている。(遠藤)

・HPは整備済みなので、みんなが掲載すれば良い。(杉ノ原)

・情報をHPで見て、実際にデータを欲しいなら後は当人同士でFTPなりすればよい。(遠藤)

・データの交換やFTPも気象庁のHPのワークステーションでおこなえる、と吉岡さん(WG4)は言っていた。(杉ノ原)

・結果の絵が外部のコミュニティに出るというのは大事。(菱田)

 

「亜寒帯観測研究分科会」(深澤)

 

直接的に観測データを扱うWG。亜寒帯域全体を見渡し、季節変動より長い、特にdecadal-interdecadalを扱う、またはそれに役立つ観測をしている。

 

(資料に沿って説明)

 

・測線を持たない表層の観測としては、気象庁がTRANSPACのXBTを実施している。40N以北ではデータが減っており、商船以外に「みらい」等でも観測している。遠洋水研ではさけ・ますの今まで出てきていないデータを発掘している。解析は、季節変動より長い、decadal-interdecadalを実施。

・測線に沿う深い観測は、遠洋水研が40N以北でかなり密な観測を実施し、日付変更線付近で珍しい中冷構造が見られた。また、水路部が1985年と1997年の観測の比較を行ない、天皇海山の東西で変動が異なっていることを示している。

・気象研では、高度計データを空間スケールで分離し、それぞれの時間スケールを調べている。この結果を用いて他の課題と連携して成果が出せるのではないかと期待している。

・ブイを利用したものとしては、水路部が漂流ブイを流し、どれも等温線を横切るように流れるという結果が得られている。今年流したブイはほとんどMizuno & Whiteのノーダルポイントに収束している。気象研の中層フロートは、時期によって流れ方が異なり、表層と中層で流れが異なることが直観的に理解できる。力学高度とあわせてみると、中層の流れが理解できてくる。

・炭酸系としては、東海大で素人でも全炭酸を測定できる器械を作った。WOCEの要求精度の10倍良い。人類起源のCO2などの話をする時、全炭酸は重要。資環研では、フロン系、CFC系を扱っている。海水の年代を推定した。

・来年度は、TRANSPAC、ブイについては今まで通り。WHPの再観測を水産庁、水路部、東海大、資環研の協力で145Wまで実施する。145W以東はカナダがおこなう。

 

(以下、主な質疑)

 

・気象研の中層フロートだが、深さが入れるたびに変わるのでは使いものにならないのでは。(遠藤)

・個人的には、alaceで特定の深さの流れを求めるということは期待していない。TRANSPACの代わりにprofileを得るものと考えている。(深澤)

・中層フロートは、流れる深さにある程度の幅があるとして、用いるものでは

ないか。(宇治)

・各層観測データの内挿に比べればよっぽどまし。(深澤)

 

・日本としてはもうP1に関して動く必要はないか。カナダの観測についてはfixしているか。(杉ノ原)

・少々ラインが変わるかもしれないが、基本的には大丈夫。(深澤)

 

・全炭酸の器械の購入や、使用の注意等はあるか。(石井)

・注文生産。頑丈につくってあるので、特に注意は必要ない。(深澤)

 

「循環系相互作用分科会」(安田、若土)

 

オホーツクから黒潮域までの循環系をつかまえるのが主題。(安田)

 

(資料/OHPで説明)

 

・JAMSTECはウルップ水道に係留系をいれており、来年回収予定。(安田)

・北水研はウルップ水道を横切るラインの10年間の解析を実施。等密度面で見ると、1994年以降下層では高温・高塩分化、上層では低温・低塩分化しており、水塊が変化した、という結果が得られている。(安田)

・気象庁では147Eを年4回、152E, 156Eを春に実施した。「みらい」でp-alaceを前線付近に投入。高風丸のデータ解析を開始。来年度は凌風丸で165Eを海底まで計画している。(安田)

・東北水研では、37Nを観測。165E以西を南北に横切る親潮流量を算出した。L-ADCPの解析も始めた。来年度は古くからの37Nのデータを解析していく。襟裳岬から南東に伸びるラインにいれている係留系の解析も実施する。(安田)

・中央水研では、本州東方の集中観測を実施。親潮系水は計約7Sv北からはいっていて、続流から抜けていく。来年は続流域で集中観測。(安田)

・東大では、CTD, L-ADCPデータにより北海道沖での西岸境界流の流量を見積もった。3000dbまでとると、計10Svが北東向きの流量と見積もられた。来年は中央水研、北水研の観測に参加する。(安田)

・北太平洋でオホーツクがどういう役割を果たしているか、そのためにオホーツクの実態を明らかにしたいと考え、ロシア船を使った観測を実施している。1回目は昨年夏実施、2回目は今年秋に予定、3回目は来年。今年は去年より北に係留系を入れる。(若土)

 

(以下、主な質疑)

 

・親潮系水の北からの流入が7Svというのは他の研究とくらべて多過ぎるのでは。(杉ノ原)

・密度の基準面が異なるためでは。(深澤)

・観測の空間スケールが15n.mileではひろすぎる、時間変動が激しくてとらえ切れない、また潮汐の除去等、いくつか問題点はある。(安田)

・L-ADCPと地衡流はfitするのか。風などによる分が残ってしまう可能性もある。(深澤)

 

・中央水研の来年度の観測は複数船でできないか。(杉ノ原)

・少し時期がずれるが、気象庁が実施する観測とのデータ交換等は可能。(安田)

 

「二酸化炭素の挙動分科会」(佐々木)

 

(資料に沿って説明)

 

・気象庁と水路部が基本的に分圧を測っている。気象庁は今年から高風丸でpCO2の観測を開始。最終的にはfluxを出すつもり。水路部は今年は新船への測器移設等であまり観測が進まなかった。

・中央水研では144Eを観測。今年は1、5、8月のデータを用いて、硝酸塩や全炭酸の季節変化を調べた。

・東海大では、Whitecapモデルを改良して炭酸ガス交換係数のマッピングを行なった。

・遠洋水研は今年で終り。研究継続の体制にない。

・北水研では、180E及び40Nの観測を実施。クロロフィル、ケイ藻、円石藻は昨年とは逆の結果が出ており、どこがCO2の吸収域でどこが放出域か見積もるのは短い年数では難しいようだ。

 

(以下、主な質疑)

 

・炭酸ガス交換係数の評価はどうしたか。(遠藤)

・全体の収支がわからないと、評価のしようがない。もっと議論が必要。(佐々木)

・狭い海域では無理で、全太平洋での収支は、というくらいの話にしないとダメだろう。(深澤)

 

4−3) その他

 

各主査は、他の分科会でどういうことが行なわれていて、何を目玉にできるかなど、メドがたったのではないかと思う。来年度の評価、シンポジウムに向けて動いて頂きたい。(杉ノ原)

 

(来年度の評価について)

 

資料に沿って説明(事務局)

 

・次年度第一回推進委員会は6月中にしたい。評価に向けた体制作りをする。(杉ノ原)

 

(シンポジウムについて)

 

当初の課題・参加機関は全部で約30。これでは多過ぎるので、(1)成果の挙がっている課題、(2)SAGEとして重要な課題、を各WG主査にあげてもらい、それを中心にしていきたい。また、シンポジウムの際には、話題が広範なので、主査にWGの意義等を総括してもらい、その後で各研究の話に移る、という形をとりたい。4月中にはそういう感じでまとめたいと考えている。(安田)

 

(以下、主な質疑)

 

・学会で行なうということは、SAGE以外の人も興味のあるような話にする、ということ。その点に留意して進めて欲しい。(杉ノ原)

・シンポジウムの申し込みは7月最初かもっと前なので、推進委員会はやはり6月中に開く。4月か5月に委員にe-mailでまとめたものを送って頂きたい。(杉ノ原)

・4月中にWG主査は各WGの代表を連絡して下さい。(安田)

・どこそこは出る、どこそこは参加できる数次第でどうしようか、程度の議論はWGでした。後はどの程度の数が参加可能かだ。(佐々木)

・多くしすぎると議論の時間がとれない。少なめにしては。(杉ノ原)

・次の推進委員会ではあまり議論をする必要がない程度のものを出して欲しい。(永田)

・e-mailで早めに連絡をとって進めて頂きたい。大変だが頑張るように。(杉ノ原)

 

(その他)

 

・観測フロンティアは、データをとればいいのではなく、地球フロンティアのモデル研究にも役立つデータを、ということで、実施しているので、誤解のないよう。(菱田)

 

・評価委員会の候補者を、特に各WG主査は、自分のWGを適切に評価できる人を推薦して欲しい。4月中には決めたいと考えている。(事務局)

 

・来年度は推進委員会は6月だが、分科会はいつ開くか。(事務局)

・今日の結果をもとに、分科会で話してもらってはどうか。(杉ノ原)

・評価に向けての話はすでにしているのでは。(深澤)

・第二期へ向けての話はしていない。(佐々木)

・第二期に向けてとなると、評価の後いろいろ変更があるので、分科会でそこまで話ができるだろうか。(深澤)

・分科会は推進委員会の後、ということにする。それまでは、e-mail等で分科会で必要な連絡や議論をして頂きたい。(杉ノ原)

 

(5) 閉会

 

事務局は3月末で交替する。新年度の担当者は、決まり次第連絡する。(事務局)