科学技術振興調整費による総合研究

「北太平洋亜寒帯循環と気候変動に関する国際共同研究」

平成10年度第1回研究推進委員会 議事録


【日 時】 平成10年10月27日(火)13時30分〜17時

【場 所】 科学技術庁第4会議室(通産別館9階)

【出席者】

  委 員 長 : 杉ノ原

  委   員 : 淡路,石井,宇治,遠藤,小池,佐々木,永田,菱田,深澤,

          大谷,安田,若土

  オブザーバー: 高芝(水路部),杉本(気象庁)

  事 務 局 : 平野(科技庁),矢吹(科技庁)


【議 事】

(1)開会

(2)事務局からの連絡

  資料の確認

  新委員の紹介(宇治(気象研)、若土(北大))

(3)研究推進委員長あいさつ

 このプロジェクトは前期3年、後期2年という計画ではあるが、後期の2年は

黙っていてもついてくるものではない。そこで、成果を出す場として、シンポジ

ウムの開催を考えている。後で提案をするので、よろしく検討願いたい。

 

(4)議事(司会:杉ノ原)

4−1)平成9年度第2回推進委員会議事録の確認

議事録(案)について,事務局より簡単な説明の後、異議無く承認された。

 

4−2)平成10年度研究進捗状況(各分科会主査)


「亜寒帯観測研究分科会(WG1)」(深澤)

 

WG1は,他のWGの比べると観測を行う課題の集まりであり、亜寒帯全域が対象と

なっているのが特徴である。(資料4に沿って説明)

 ・ 水路部で投入したアルゴスブイにより一様に南下する流れが得られ、興味深

い。

 ・ 気象研ではp-alaceを5台投入。観測をする上で、将来的に非常に有効な武

器たりうると考えている。

 ・ 47N、160〜180Eの4,000〜5,000mで1985年と比べて4〜5/1000℃の水温上昇

が観測され、興味深い。太平洋全域ではないことに留意。

 ・ P1ラインの再観測は「みらい」と「開洋丸」または「照洋丸」でおこなう予

定。航海日数を十分に確保できなかったため、全ての測点を実施できないかも知

れない。また、現在、カナダのIOSの船を用いて、P1の再観測を行う可能性を

検討中で、もしかしたら、日本、米国、カナダの協力で実施されるかもしれない

。ただ、日本側としては、米国、カナダの動向に関わらず、来年度、必ず実施す

る。

 

<以下,主な質疑>

・ アルゴスブイの南下は何を意味しているのか。(遠藤)

・ ドローグが15mなので、エクマン層の流れという気もする。(深澤)

 ・ ドローグをもっと深くしては。(遠藤)

 ・ 深くすることがよいとわかっていればいいが、わからない内にやるのはデー

タの蓄積・継続という観点から危険な気がする。(深澤)

 ・ 循環像に関する研究は、表層の流れを水路部が、中層の流れを気象研が実施

しているが、まとめて1つの成果を出してはいかがか。(宇治)

 ・ 形式的には、成果はそれぞれの課題でまずまとめて出す必要があろう。各課

題には、米国と連絡をとりあいデータの収集に力を入れるようお願いしている。

(深澤)

 ・ 47N線は深層の水温上昇を検出するのに適切な場所か。限られた場所でなく

、全体がどれくらい変動しているかが知りたいのでは。(小池)

 ・ 47Nは最初に米国の高精度観測があったため、変化をきちんとおさえること

ができる数少ないライン。(深澤)

 ・ P1の再観測はSAGEの大きな目玉の1つである。是非成功させて欲しい。(杉

ノ原)

 


「循環系相互作用分科会(WG2)」(安田)

 

   亜寒帯の起源であると言われているオホーツク海から黒潮程度までの範囲

で、フラックスを明らかにするのが目的。(資料5に沿って説明)

 ・ JAMSTECでウルップ水道に係留系をいれた。

 ・ 北水研が釧路沖に係留系を追加し、合計5系になった。CTDデータも併せた

流量解析では、スベルドラップ輸送量と良く一致した季節変動が見られた。

 ・ 東北水研では144Eや37Nの観測を実施。37Nの経年変動を解析。

 ・ 中央水研では、黒潮続流をターゲットに、亜熱帯への輸送を見積もっている

。閉じた領域の観測および続流域での細かい間隔の観測を実施。LADCPを使用。黒

潮の南に蛇行しているところで、流速場、および低温・低塩分水の状況からみて

南への流入が見られた。

 ・ 気象庁では147E、165Eを実施。本州東方の南北ラインは年2回リピート観測

。来年度は165Eのボトムまでの観測を行う計画。

 

<以下,主な質疑>

 ・ 中央水研のLADCPの結果は、等流速線が鉛直に引かれていて傾いていない。

地衡流と一致せず、興味深い。(杉ノ原)

 ・ LADCPの観測自体には問題はなさそう。地衡流以外も含んだデータが得られ

た,ということ。(深澤)

 ・ 今までの観測で、交換量は出せるようになったということか。(杉ノ原)

 ・ スナップショットの量は少なくとも出せる。マッピングは私がとりまとめる

。(安田)

 ・ 東の方の交換量も結構あるが、そこはどうしているか。(遠藤)

 ・ この観測からは、東の方はかなり落ちている。(安田)

 ・ 亜寒帯水は甘くなっていないか。NODCのデータで1975以前と以後を比較する

と、塩分が変わっているが。(深澤)

 ・ Lucasも亜熱帯も含めて甘くなっているといっている。(遠藤)

 ・ カムチャッカで特に顕著という話を聞いている。(安田)

 


「二酸化炭素の挙動分科会(WG3)」(佐々木)

 

(資料6により説明)

 ・ 中央水研では144Eの観測を実施し、結果を解析。1997年のデータからは、親

潮系水はほぼ38N以北のみにしか見られず、144Eでの親潮系水の亜熱帯への輸送は

ほぼないものと思われる。人類起源の炭酸ガスは三陸沖では取り込まれず、親潮

域から流入している様子。

 ・ 気象庁では高風丸で今年から二酸化炭素の観測開始。

 ・ 水路部は今年47Nの観測を行ったが、平成11年度は船が使えそうにない。

「みらい」利用を申請中。

 ・ 遠洋水研では、プランクトンの調査により生物が二酸化炭素を取り込み、落

ちていくことによる影響を定性的に調べている。1997年の結果からは動物プラン

クトンが多いところでクロロフィルが少ないという結果がでたが、関連性につい

てははっきりしていない。円石藻は日本に近いほど少なく、東は相対的に多かった。

 

<以下,主な質疑>

 ・ 表層の季節変動や中層水によっても二酸化炭素の挙動は随分変わるので、最

初はそちらも考慮するつもりだったが、そこまではできそうにない。(佐々木)

 ・ 物理のWGと、中層水でどのように関連するのか。(杉ノ原)

 ・ 例えば循環(WG2)のFLUXとの対応を見ることができる。(佐々木)

 ・ 全炭酸は精度があがったので分布がきちんと把握できるようになった、とい

うのが目玉だったのでは。(宇治)

 ・ 分布を把握するためには、そういう(広域の)観測が必要。(杉ノ原)

 ・ 日本だけですべて観測し把握するのは無理。米国とのデータ交換が大切。米

国は北太平洋の東側をよく観測している。(永田)

 


「モデル化及びデータ管理分科会(WG4)」(遠藤)

 

 WG4は、モデル開発やデータ解析・管理をおこなっている。また、各分科会か

ら委員が出ており、各分科会の意向を踏まえて議論している。(資料7により説

明)

 ・ 東海大では、今年はLevitusを使ってケイ酸塩輸送を見積もる。また、診断

モデル・同化モデルの開発を行っており、混合層を入れた大循環モデルによりデ

ータセットを作りたい。混合層が入ったことによるインパクト実験を行う。(淡

路)

 ・ 遠洋水研とCCSRでは、GCMベースでの力学的制約条件を満たすインバースモ

デルを開発、今年度は改良していく。

 ・ 気象研と東北大では、北太平洋大循環モデルの改良はほぼ終わった。今年度

は2種類のモデル(1度×1度のglobalモデルと高精度の北太平洋モデル)を統

合し、太平洋中層水の形成の実験をおこなう。混合層の気候値データに改良を加

える。

 ・ データベースの構築等に関して、水路部がデータベースの管理を、気象庁が

ホームページを、日本水路協会が歴史的データの発掘やメタデータの付加、利用

しやすいフォーマットの考案、品質管理ソフトの開発などを行っている。

 

(データポリシーについて)

 SAGEのデータポリシーについて、前回も議論したが、個々のデータについて問

題を議論し出すと話が尽きない。この程度なら共通の認識としてもてるだろう、

というものを各WGで話をし、WG4に持ち寄って合意した。これを案として推進委員

会にもってきている。主旨は、プロジェクト内でのデータの流通を盛んにという

こと、および外部へのデータ公開の2点である。(案に沿って説明)

(データポリシーに関して各WGでの意見のまとめを紹介)

・ WG1では、気象庁、保安庁は問題無し。P1などのデータについてはデータの

blush upをどこまでするかが問題になる。基本的な方針としてはO.K.だが、遅れ

てしまうところがでることもありうる。(深澤)

・ WG2に関しては、今回の案でほぼ問題はクリアされたものと考えられる。挙

げるとすれば、どこまでデータを出すのか。いろいろな予算が絡んでいるものが

あり、あまり取り立てが厳しいとつらい。(安田)

・ WG3で出た意見としては、二酸化炭素分圧等は気象庁で責任をもって管理し

たいと言っており、プロジェクト内部ではオープンにすることで問題ない。他の

人が利用するシステムについてはもう少し考えさせて欲しい。フォーマットにつ

いては、ボトルデータのQCをするために必要な成分もはいっている必要がある。

CSRは、SAGEに関連した機関は率先して提出すべき、と考えている。(佐々木)

 

<以下、主な質疑>

 ・ 科学技術庁の予算だからデータを出せないものがある、と以前聞いたことが

ある。(永田)

 ・ データを出してはいけない、ということはないと思う。研究成果の利用促進

の観点から、出せるものであれば出すことに問題ない。ただし、成果を出すに当

たって、成果の利用承認申請をしてもらうが、科学技術庁としては、きちんとし

たデータが外部に出ることを把握しておきたいだけであって、無理に出すことを

妨げることはない(事務局)。

 ・ このデータポリシーは、早く出せるものは早く出しましょう、ということ。

(杉ノ原)

 ・ 即時的に通報できるものはそうする、というのが国際的な流れ。できるもの

については即時的に通報するよう、案に一文をつけ加えては。(宇治)

(案文に、「国際機関が実施しているデータ交換推進プログラムについては可能

な限り協力する。」を追加。さらに、3.「観測終了後3年間は本プロジェクト

関係者のみとし、関係者以外への ...」を、「観測終了後3年間は本プロジェク

ト関係者のみとし、この間の関係者以外への ...」に変更。)

 ・ だいたいこれ位の枠で動く、というものを決めておくことは必要なので、こ

れをSAGEのデータポリシーとすることでよいですね。(杉ノ原)

(特に異議なし)

 


4−3)その他

 

(シンポジウム)

 挨拶で述べたように、来年度の秋の海洋学会でSAGEのシンポジウムを開こうと

考えている。時期は9月か10月なので、それと並行してSAGEのまとめを行えばち

ょうどよい。学会なので、scientificな話にする必要がある。各WGの主査にコン

ビーナを務めていただきたい。責任者は、WG2の安田さんにお願いしたいが、いか

がか。(杉ノ原)

(特に異議なし)

 

 ・ 第2回推進委員会までに、安田さんにはシンポジウムの内容についてたたき

台を作って欲しい。(杉ノ原)

 


(事務局から)

 ・ 昨年度の予算は2億7200万、今年度は2億8900万だった。来年度の予算要求

がもうすぐなので、よろしくお願いしたい。各主査と相談させていただくことに

なると思う。(事務局)

 ・ 次回の推進委員会は2月以降。1月早々には、日程調整のため連絡する。(

事務局)

 


(5)閉会

 本日の推進委員会に出席して、SAGEでは参加機関の横の連絡がきちんととれて

いるのがよくわかり、よかった。今後も研究を進めていただきたい。(事務局)

 

以上